杖を手放せない変形性膝関節症の70代女性が杖無く旅行へ行けました

杖を手放し、再び旅に出た70代女性の物語

〜「痛み止めしかない」と言われた膝が、半年で笑顔を取り戻すまで〜

こんにちは!宮本です。

今日は、私がこれまで診させていただいた患者様の中でも、とくに印象に残っている70代女性の方のケースをお話ししたいと思います。

その方は、いわゆる「変形性膝関節症」と整形外科で診断されていました。

右膝の痛みが強く、半年以上も鎮痛薬と湿布のみで経過をみていたそうですが、残念ながら一向に良くならず、「もう歳だから仕方ないのかな…」と半ば諦めていたそうです。

変形性膝関節症について

趣味は旅行。

以前は友人と年に数回、温泉地を巡るのが楽しみだったとのこと。

しかし、膝の痛みが出始めてからは、長時間歩くことができず、杖をつかないと外出も不安。

階段を見るだけで「痛みが出るかも…」と怖くなる。

そんな生活が続き、ついに旅行を断念してしまったとのことでした。

初診時、待合室から歩いて来られる姿を見て、私はすぐに「これは相当辛いだろうな」と思いました。

右膝をかばうように体重を左に逃がして歩かれており、膝の可動域も狭く、着席する動作にも時間がかかっていました。

問診では、痛みの性質・時間帯・動作パターンを詳しくお聞きしました。

「朝はまだマシだけど、午後から夕方にかけて痛くなる」

「旅行中に少し歩くとズキンとする」

「階段の下りが特に怖い」

といった典型的な膝関節症の症状でした。

さらに、視診と触診で膝を確認すると、

  • 内側関節裂隙の圧痛(特に内側半月板周辺)

  • 大腿四頭筋の強い緊張

  • 膝窩部(ひかがみ)やハムストリングスの硬さ

  • 骨盤のやや後傾姿勢

    これらが見られました。

ここで私が最初に考えたのは、「膝自体の炎症をまず鎮めること」、そして「膝周囲の過剰な筋緊張をとること」です。

痛みが強い時期に無理な運動をすると、かえって悪化するケースが多い。

ですので、初期は“動かす”より“整える”。これが原則です。

第1ステップ:痛みを鎮める

施術は、膝関節まわりの炎症と筋拘縮をとるために、超音波治療+手技療法+鍼灸施術を組み合わせました。

超音波で深部の温度を上げ、血流を促進。

手技では、大腿四頭筋・内側広筋・ハムストリングスを丁寧にリリース。

さらに、膝窩部や腓腹筋への鍼灸刺激で神経の興奮を鎮め、痛みを和らげるようにしました。

初回の施術後、彼女は椅子から立ち上がるときに驚いた表情をされました。

「さっきよりスッと立てる!」「なんだか膝の奥が軽い気がする」と笑顔に。

その瞬間、こちらも思わず笑ってしまいました。

こうした変化は一時的なものに見えるかもしれませんが、実は体が「治る方向に反応している」サインなんです。

第2ステップ:足元の環境を整える

痛みが落ち着いてきた段階で、私は次の提案をしました。

それが「インソール」です。

彼女は日常的にスニーカーを履かれていたのですが、足底のチェックをすると典型的な過回内(オーバープロネーション)

つまり、歩くたびに内側に体重がかかり、膝が内側へねじれていました。

これでは、どれだけ筋肉を整えても、歩くたびに膝を痛めてしまいます。

そのため、医療用インソール(フォームソティックス・メディカル)を調整し、靴に装着しました。

「こんなもので変わるの?」という半信半疑の表情でしたが、装着して立った瞬間、

「なんだか姿勢が伸びる」「右の膝が楽」と実感されていました。

変形性膝関節症とインソールについて

第3ステップ:痛みの出ない範囲でのウォーキング開始

2週目からは「痛みの出ない範囲で歩く」ことを提案しました。

ポイントは“距離”ではなく“質”。

ゆっくり、丁寧に、体重の移動を意識して歩くようにお願いしました。

その際、「歩き方」を動画で撮影し、一緒に確認しました。

ご本人も「思ったより右に体重をかけられていない」ことに気づき、

それを修正していく過程で、徐々に歩行のバランスが良くなっていきました。

そして3週目。

彼女から「家でもできる簡単な運動を教えてほしい」と言われました。

この「自分から前向きに聞いてくださる」という姿勢が、改善の最初の大きな分岐点になります。

そこで私は、膝に負担をかけず、筋力をつける最も安全な方法として、セラバンド(ゴムチューブ)を使った運動を指導しました。

具体的には「椅子に座って片足ずつ前方にゆっくり伸ばす」運動。

軽い抵抗で、太ももの前側(大腿四頭筋)を活性化させる狙いです。

「これならテレビを見ながらでもできますね!」と嬉しそうに話され、

翌週の来院時には「毎朝やってるよ!」と報告してくれました。

変形性膝関節症とトレーニングについて


次第に運動が日課になり、

「他の運動も覚えたい」と言ってくださるようになります。

そこで第二弾として「股関節外転運動(ゴムチューブを膝に巻いて外に開く動作)」を指導。

さらに「ハムストリングスストレッチ」「足首の底背屈運動」など、段階的に5種類に増やしていきました。

気づけば、朝起きてから30分間は運動タイム。

「運動しないと1日が始まらない」とおっしゃるほど、習慣になっていました。


半年が経った頃、彼女の姿勢は明らかに変わっていました。

以前のような杖姿ではなく、すっと背筋を伸ばして歩いてこられる。

「先生、見て!」と笑いながら杖を持たずに来院されたときは、私も本当に感動しました。

そして何より嬉しかったのが、その後の一言。

「娘と旅行に行けたんです!」

旅先の写真を見せてくださり、「朝も旅館でちゃんと運動してきたの」と笑って話してくれました。

努力が実を結び、目標を達成された瞬間でした。

“諦めなければ変わる”——70代女性が膝痛を克服できた理由と再発防止の秘訣

さて、ここからは、この患者様がどのようにしてここまで膝の痛みを克服できたのか、

そして再び旅行を楽しめるまでに回復した“本当の理由”について掘り下げていきたいと思います。

整形外科で「変形性膝関節症」と診断を受けた多くの方が、

「もう年齢のせいだから仕方ない」と言われ、痛み止めと湿布でやり過ごしています。

けれど、彼女のように“動き方”と“ケアの習慣”を正しく整えることで、痛みは確実に軽減します。

ここで重要なのは、「関節そのものを治す」というよりも、

関節にかかるストレスを減らし、動かす筋肉の使い方を変えるという発想です。


① 痛みの本質は「骨」ではなく「動き方」にある

膝関節は大腿骨・脛骨・膝蓋骨で構成され、

その周囲を支えるのは筋肉と靭帯、そして足底から伝わる“荷重のバランス”です。

変形性膝関節症と診断された場合、

X線画像では「関節の隙間が狭い」「骨の変形がある」などの所見が見られます。

しかし、画像上の変形の度合いと痛みの強さは必ずしも一致しません。

これは、膝の痛みの多くが「骨の変形」ではなく「筋・筋膜の緊張」や「血流障害」によって起こるからです。

つまり、筋肉が柔らかくなり、関節周囲の循環が整えば、変形があっても痛みは軽減します。

彼女の場合も、初診時は太ももの筋肉(特に内側広筋と大腿直筋)がカチカチに硬く、

膝を曲げるたびに筋肉が突っ張って痛みを出していました。

超音波治療と鍼灸施術によって、まずその緊張を解き、

次第に血流が回復することで「冷たい」「重い」といった感覚がなくなり、

自然と可動域も広がっていったのです。


② 足のバランスを整える「インソール効果」

インソールは、膝関節症の治療において“第2の膝治療”とも呼べるほど重要です。

人間の膝は、歩行中に常に足裏からの力を受けています。

そのため、足のアーチ構造が崩れると膝への負担が増え、炎症を悪化させてしまうのです。

彼女の場合、「過回内(オーバープロネーション)」と呼ばれる典型的な足の崩れ方が見られました。

この状態では、足首が内側に倒れ込み、膝が内旋するため、

関節内の内側半月板に常にストレスがかかる構造になってしまいます。

フォームソティックス・メディカルは、

単なる“クッション”ではなく、“足の骨配列そのものを矯正する医療用インソール”です。

これによって、足部から骨盤までのアライメントが正され、

結果的に膝の動き方が変わっていくのです。

実際に彼女はインソールを入れて歩くようになってから、

「歩いた後の疲労感がまるで違う」と話していました。

そして、膝の痛みだけでなく、以前感じていたふくらはぎの張り腰の重だるさも軽くなったそうです。


③ 筋肉を「動かす習慣」が関節を守る

治療院での施術だけで膝の状態を改善することは不可能です。

なぜなら、1週間のうち治療時間はせいぜい30〜60分。

残りの167時間は患者さんがどう過ごすかにかかっているからです。

この患者様が素晴らしかったのは、

「教えた運動を正確に、しかも毎日続けた」ということ。

筋肉は“使われてこそ”柔らかく、強くなります。

ストレッチや軽い筋トレを習慣化できる人ほど、

関節を長持ちさせることができるのです。

朝起きてからの30分を「自分の時間」にしていたのも印象的でした。

筋トレというより“日課の体操”として、

好きな音楽を流しながらゴムチューブ運動をされていたそうです。

最初の1種類から始まり、気づけば5種類を組み合わせるようになり、

毎朝30分の運動が「歯磨きと同じように当たり前」になっていました。

この“継続の力”こそが、年齢を超えて結果を出す最大の理由です。


④ モチベーションを保つ3つのポイント

1️⃣ 「小さな変化」を喜ぶこと

最初から“痛みゼロ”を目指すと挫折しやすい。

「今日は昨日より楽」「杖をつく時間が減った」など、

小さな変化を一緒に喜び、モチベーションを維持しました。

2️⃣ 「できたこと」を記録する

彼女は簡単なメモ帳を用意し、運動をした日には〇印をつけていました。

これだけでも「サボれない」という良いプレッシャーになります。

3️⃣ 「人と共有する」

娘さんや友人に経過を話すことで、応援してもらえる環境を作っていたのも素晴らしかった。

“見てくれる人がいる”ということが、継続の原動力になります。


⑤ 再発を防ぐための生活習慣

膝関節症の改善後で一番大切なのは「再発させないこと」です。

そのためには、3つの習慣を守ってほしいとお伝えしています。

1️⃣ 冷やさないこと

膝関節は血流が悪くなりやすい部位。

冷えると関節液の循環が滞り、炎症を起こしやすくなります。

お風呂でしっかり温める、サポーターやレッグウォーマーで保温するのがおすすめです。

2️⃣ 歩くときの“リズム”を意識する

ダラダラ歩くより、テンポよく“かかと→つま先”を意識して歩く。

足裏のローリング動作を意識するだけで、膝への負担が激減します。

3️⃣ 姿勢と靴のチェックを怠らない

靴底がすり減っていないか、かかとが内側に倒れていないかを定期的に確認。

年齢を重ねるほど、靴の影響は大きくなります。


⑥ 専門家の立場から見た「成功の方程式」

このケースを総括すると、彼女が改善できた理由は以下の4点に集約されます。

1️⃣ 痛みの原因を“正しく”理解できたこと

2️⃣ 足元(インソール)から全身のバランスを整えたこと

3️⃣ 運動を習慣化し、体を“動かす時間”を作ったこと

4️⃣ 前向きな気持ちを失わなかったこと

この4つが揃ったとき、年齢に関係なく体は確実に変化します。

実際、70代でも筋肉の柔軟性や神経伝達は十分に回復可能です。


痛みがなくなるだけではなく、「また行きたい場所がある」「また歩きたい人がいる」

そう思えることこそが、健康を取り戻す本当の意味だと思います。


まとめ

変形性膝関節症は、年齢や体重のせいだけではありません。

足元のバランス、筋肉の使い方、そして“日々の積み重ね”で大きく変わります。

どんな方でも、正しい知識と継続的な努力があれば、

もう一度「自分の足で歩く喜び」を取り戻すことができます。

彼女のように、年齢を理由に諦めず、前を向いて取り組めば、

痛みのない人生は必ず手に入ります。

リード鍼灸整骨院は、その一歩を全力でサポートしていきます。

膝の痛みで悩んでいる方、宮本までぜひ一度ご相談ください!!

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