足の指が痛いだけ、のはずが

気づいたら膝と腰までつらくなっていた話

外反母趾を甘く見たらあかんな、と思った瞬間の話です

こんにちは、宮本です。

外反母趾と聞くと、正直なところ

「指の変形ですよね」

「靴が当たって痛くなるやつですよね」

そんなイメージを持っている方が多いと思います。実際、初めて来られる患者さんも、だいたい同じような言葉から話が始まります。

ただ、これを長く現場で見ていると感じるのですが、外反母趾はそんなに単純な話ではないことが多いです。

今回来られた49歳の女性の方も、まさにそうでした。

「先生、足の親指が痛いんです」

そう言って来院されました。

話を聞いて、歩き方を見て、実際に触っていくうちに、

「これは足の指だけの問題ではなさそうだな」

と、比較的早い段階で感じた症例でした。

外反母趾出典


立ち仕事8時間という現実

この方は飲食店で働いておられ、立ち仕事が中心の生活です。

「休憩は取れていますか?」と聞くと、

「忙しい時は、ほとんど立ちっぱなしです」

と、さらっと話されました。

日常的に8時間以上立ち続ける。

これは、足にとっては想像以上に負担が大きい環境です。

右足の外反母趾の痛み自体は、もう何年も前からあったそうです。

最初のうちは、

「まあ、こんなものかな」

「仕事が終わったらマシになるし」

そんなふうに思いながら、我慢して過ごされていました。

ところが、ある時期から状況が変わってきました。

仕事中もずっとズキズキするようになり、家に帰っても痛みが引かない。

さらに、

「最近、膝も痛くて」

「腰も、朝起きた時が一番つらいんです」

という話も出てきました。

「年齢のせいですかね?」

そう聞かれたのですが、僕自身は

「それだけではないな」

と感じていました。

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歩き方を見た瞬間に感じた違和感

まずは歩いてもらいました。

外反母趾の場合、立っている時よりも、歩いている時のほうが体のクセがはっきり出ます。

見てすぐに分かりました。

右足を地面につけている時間が短い。

親指でしっかり蹴れていない。

その代わり、足の外側で踏ん張るような歩き方になっていました。

「ご自身ではあまり気づいていないかもしれませんが、右足を少し避けるように歩いていますよ」

そう伝えると、

「え、そうなんですか?」

と驚かれていました。

これはとても自然な反応です。

痛みがあると、人は無意識のうちにそこをかばいます。

それ自体は悪いことではありません。

ただ、その状態が毎日、何時間も続いてしまうと、別の場所が代わりに負担を背負ってしまいます。


触診で見えてきた全体像

実際に触っていくと、状況ははっきりしてきました。

右足の親指は、見た目でも分かる変形があり、赤みと軽い腫れもありました。

「ここを押すとどうですか?」

「そこはかなり痛いです」

すぐに返事が返ってきました。

足の裏、特に指を支える細かい筋肉もかなり張っていました。

「ここ、相当頑張っていますね」と伝えると、

「足の裏って、こんなに硬くなるんですね」

と少し驚いた表情をされていました。

膝の周り、太ももの外側も強い緊張があり、腰に触れると、こちらが言う前に

「そこ、痛いです」

と言われるほどでした。

その時に、ふとこぼれた一言が印象的でした。

「実は、最近は膝や腰のほうがしんどい日もあって」

この瞬間に、今回の症例の流れが一本につながった感覚がありました。

外反母趾原因出典


なぜ足の指の痛みが膝や腰に出たのか

ここは、できるだけ分かりやすく説明しました。

「足の親指は、歩く時に地面を蹴る役割があります」

「そこが使いづらくなると、体は別の場所で何とかしようとするんです」

右の親指が痛い



無意識に体重を乗せにくくなる



足の外側に荷重が偏る



膝がねじれやすくなる



骨盤が傾く



腰がかばう

この流れを説明すると、

「だから全部右側に出ていたんですね」

と、納得された様子でした。

ただ痛みを取るだけでなく、

「なぜ今の状態になったのか」を理解してもらえると、その後の回復は大きく変わります。


最初にやるべきこと

今回、最初に意識したのは

「まず痛みを落ち着かせること」

でした。

痛みが強い状態で

「歩き方を変えましょう」

「姿勢を意識しましょう」

と言っても、体はなかなか言うことを聞いてくれません。

そこで、炎症と興奮状態を落ち着かせる目的で超音波治療を行いました。

「電気と何が違うんですか?」と聞かれることも多いですが、深い部分まで刺激が届き、血流を促すことで回復しやすい環境を作ります。

施術中、

「じんわりしてきますね」

「押されるより楽です」

という反応があり、狙い通りの感触でした。


手技と鍼灸で体全体を整える

手技では、足だけでなく、膝や腰も含めて丁寧に緩めていきました。

足が原因でも、他の部分はずっと代わりに頑張ってきています。

腰を触った瞬間、

「そこ、結構きますね」

と言われました。

「ずっと代わりに頑張っていた場所ですね」と伝えると、

「自分では腰が原因だと思っていました」

と話されていました。

最後に鍼灸施術を行い、痛みの緩和と循環の改善を図りました。

「足がポカポカしてきました」

という感覚が出てきたのを確認して、初回の施術は終了です。

立ってもらうと、

「さっきより楽に立てます」

と話されていました。

ここまでが初回の段階です。

まだ治ったわけではありませんが、体が変わり始めているサインはしっかり出ていました。

このあと、どう状態を維持していくのか。

仕事を続けながら、どう負担を減らしていくのか。

そこが次の大切なポイントになっていきました。

インソールを入れた時のリアルな反応

初回の施術が終わって立ってもらった時点で、

「さっきより楽です」

という言葉は出ていました。

ただ、ここで終わりではありません。

この方は、翌日もその翌日も、また8時間の立ち仕事があります。

一時的に楽になっても、仕事に戻れば同じ負担がかかります。

そこで次にお話ししたのが、インソールについてです。

「これって、絶対に必要ですか?」

正直、そう聞かれました。

無理もないと思います。

インソールに対して、少し構えてしまう方は多いです。

なので、ここは丁寧に説明しました。

「今日ここで体を整えても、

 明日からまた同じ立ち方をすると、

 体はどうしても元に戻ろうとします」

少し現実的な話ですが、これは大事なところです。

外反母趾治療出典


インソールは治す道具ではなく、支える道具です

よく誤解されますが、インソールは

「無理やり治すもの」

ではありません。

正しくは、

「体が楽に使える位置を教えてくれるもの」

です。

今回のポイントは、

右足の親指側に自然に体重が乗ることでした。

無理に押すのではなく、

「ここで立っても大丈夫ですよ」

と、足に伝えるイメージです。

実際に履いて立ってもらうと、少し間があってから

「あ、全然違いますね」

と言われました。

この反応が出るときは、方向性としては合っています。


2回目、3回目で見えてきた体の変化

2回目の来院時、歩いて入ってくる様子を見て、すでに変化を感じました。

大きな違いではありませんが、右足の運びが少し自然になっています。

「仕事中はどうですか?」

と聞くと、

「まだ痛みはありますけど、前よりだいぶマシです」

と話されました。

これはとても大事な言葉です。

いきなり

「もう痛くないです」

となることは、ほとんどありません。

体は、ちゃんと段階を踏んで変わっていきます。

触診をすると、

親指の赤みが少し落ち着いてきていました。

足裏の緊張も、初回より明らかに和らいでいます。

膝と腰について聞くと、

「仕事終わりの腰のだるさが減りました」

とのことでした。

ここで、治療の方向性は間違っていないと確信しました。


セルフケアはあえて少なくしました

このタイミングで、自宅でのケアについてもお伝えしました。

ただし、内容はかなり絞っています。

正直なところ、

ストレッチや体操をたくさん伝えても、ほとんど続きません。

それなら、少なくても確実にできるもののほうが意味があります。

今回は、

足の指をゆっくり動かすこと

仕事終わりに足裏を軽くほぐすこと

この2つだけにしました。

「これだけでいいんですか?」

と聞かれましたが、

「まずはこれだけで十分です」

とお伝えしました。

続けられることが、一番の治療になります。


3週間後、本人が気づいた一番の変化

3週間ほど経った頃、診察室に入ってきてすぐに

「最近、気づいたことがあって」

と話されました。

何かと思うと、

「仕事終わってから、前みたいに右足を引きずってないんです」

という言葉でした。

これは、本人が一番大きな変化に気づいた瞬間です。

痛みはどうしても

「ある・ない」

で見がちですが、

実は動きが変わることのほうが大切です。

この時点で、膝の痛みはほぼ出ておらず、

腰についても

「朝のつらさが全然違います」

と話されていました。


2ヶ月後、ウォーキング再開の報告

2ヶ月ほど経った頃、少し嬉しそうに

「最近、また歩いているんです」

と教えてくれました。

以前は趣味でウォーキングをされていましたが、

痛みが出てからは、完全にやめていたそうです。

「最初は怖かったです」

「でも、今は普通に歩けています」

無理に

「運動しましょう」

と勧めたことは一度もありません。

体が楽になると、人は自然と動きたくなります。

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この症例を通して改めて感じたこと

外反母趾は、足の指の問題です。

でも、足の指だけの問題ではありません。

かばえば、膝が頑張ります。

膝が限界に近づくと、腰が引き受けます。

体はとても正直です。

「年齢のせいかな」

「仕事だから仕方ないかな」

そう思って我慢している方は少なくありません。

ただ、

体をきちんと見て、

原因を整理して、

必要なサポートを入れていけば、

体はしっかり応えてくれます。


今後について

現在もこの方は、定期的に通院されています。

痛みを取るためではなく、

良い状態を保つためです。

それが、一番無理のない通い方だと思っています。

外反母趾で悩んでいる方に、

足だけを見て悩み続けてほしくはありません。

もし、

足の痛みから膝や腰までつらくなってきた

そんな感覚があれば、それは体からのサインです。

早めに気づいてあげることで、結果は大きく変わります。

今回の症例は、そのことを改めて教えてくれた一例でした。

 
 

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