うちの親父が倒れた日の話。「救急車を呼ぶ」という、たった一つの判断が命を救った。
こんにちは!吉田です。
今日はちょっとだけ、真面目な話をさせてください。先月、うちの家族に起きた出来事を、どうしても皆さんに伝えたくてブログを書くことにしました。
普段はわりと明るいことばっかり書いてるんですけど、今回ばかりは違います。鍼灸整骨院として、皆さんの健康に日々携わる仕事をしているからこそ、こういうリアルな経験を共有するのも大事な役目やと思ってます。少し長くなりますが、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
昼下がりのベランダで、親父が倒れた
先月のある昼下がりのことです。家庭菜園が日課のうちの親父は、いつものようにベランダで土をいじっていました。3年前に大腸癌を乗り越えて、自宅でゆっくり療養しながら穏やかに過ごしていた親父。血圧は少し高めでしたが、中肉中背で、健康にも気をつけているように見えてました。
「今日もいい天気やな〜」なんて感じの、ごく普通の昼下がりやったんです。そこに、母が親父の愛飲しているショウガ湯を運んで行ったんです。するとそこには——崩れ落ちるように倒れている親父の姿がありました。
意識はある。でも、声をかけても言葉がおぼつかない。脚に力が入らない。明らかに「普通じゃない」状況でした。母は最初、「疲れて倒れたんかな」と思ったそうです。でも何度声をかけても、親父の返事はうまく出てこない。そのとき初めて「これは普通やない」と気づいたと言っていました。
うちの親父は普段から冗談ばかり言うような人間で、「大丈夫大丈夫」が口癖みたいなもんです。それやのに、その口から言葉が出てこない。母はそこで、ようやく事の深刻さを理解しました。
「主人が……倒れて……病院に行くお金を……」
これは後から聞いた、母が郵便局で警察官に言った言葉です。どんな気持ちで、震える手でATMに向かっていたのか。想像するだけで胸が痛くなります。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/stroke/symptoms-causes/syc-20350113
母が取った、まさかの行動。「正常性バイアス」って知ってますか?
さて、ここからが本題です。冷静に考えたら「すぐ119番!」って思いますよね。私もそう思います。でも現実は、そんなに簡単やなかったんです。
母は激しく動転してしまって、「すぐに病院へ連れて行かなければ」という気持ちが先走り
なぜか「タクシーで行くにはお金を下ろさなきゃ」と、親父を布団まで運んで自宅に置いたまま、郵便局のATMへ走ってしまったんです。
「救急車を呼ぶほどではないはず……」。そんな思い込みが、母の判断を狂わせてしまいました。後から聞いたら「救急車って、本当に緊急のときに呼ぶもんやと思ってた。自分たちで連れて行けるなら、そっちの方がええと思った」と言っていました。

これを「正常性バイアス」といいます。災害や事故などの緊急事態で、「まだ大丈夫」「大したことない」と事態を過小評価してしまう心理的な防御反応のことです。人間の脳って、極度のパニック状態になると「現実を直視したくない」という防御本能が働くことがある。冷静なときには絶対にしない判断を、してしまうことがあるんです。
いざという場面で、人はこれが出てしまうんですよね。「自分はそんなことせえへん」と思っている人も、実際にその場に立ったら同じことが起きるかもしれない。それくらい、パニックというのは人の判断力を奪うものです。
郵便局の列に並ぶ、顔色の悪い、手が震えた母の様子に気づいたのは、巡回中の2人の警察官でした。「どうされましたか?」と声をかけられた母は、断片的な言葉で状況を伝えました。その瞬間、警察官の顔つきがサッと変わったそうです。そして即座に
「これは緊急搬送が必要です。すぐに救急車を呼びます!」
この判断が、親父の運命を決定づけました。警察官の2人が自宅まで付き添い、救急車を手配してくれたんです。このとき、どれだけ心強かったか。あの警察官の方々には、本当に感謝しかありません。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/stroke/diagnosis-treatment/drc-20350119
SCUに運ばれた親父。「発症からいかに早く」が、その後の人生を決める
搬送先は総合医療センターの脳卒中集中治療室(SCU)。脳梗塞において「発症からいかに早く処置をするか」が、その後の人生を大きく左右します。
実は脳梗塞は、発症から4.5時間以内であれば血栓を溶かす薬(t-PA)が使えます。それを過ぎると、使える治療の選択肢がぐっと狭まってしまうんです。
警察官の迅速な手配のおかげで、親父は血栓を溶かす・取り除く最新の治療を最短時間で受けることができました。もし母がそのままATMでお金を下ろして、タクシーを呼んで、一般の病院に連れて行っていたら
と考えると、ゾッとします。
入院当初の2〜3日は、右半身の麻痺と言語障害が顕著でした。
家族として、言葉にならない不安に襲われたのを今でも覚えています。「お父さん、わかる?」って声をかけても、返事がうまく返ってこない。あんなに口達者やった親父が、言葉を探しながらしゃべっている姿を見て、正直かなりしんどかったです。
でも1週間後にお見舞いに行ったら、そこにははっきりした口調で話す親父の姿がありました。一時的な記憶障害も改善し、麻痺も劇的に回復していたんです。「よかった」という言葉では追いつかないくらい、ほっとしました。
「発見が早かったこと、そして何より適切な救急要請がこの回復を引き寄せた」
これは担当医の先生の言葉です。この言葉が、ずっと頭に残っています。早く気づくこと、そして迷わず救急車を呼ぶこと。それだけで、こんなにも結果が変わるんやということを、身をもって知りました。

出典:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/5601-stroke
今すぐ覚えてほしい「FAST」。これが脳梗塞を見抜く合言葉です
今回の件で改めて痛感したのは、「異変を感じたら迷わず救急車を呼ぶ」という勇気の大切さです。「大げさかな」「自分で連れて行けるかな」
そういう迷いが、命取りになることがある。今回うちの家族がまさにそれやったんです。
当院へ来られる患者様の中にも、高血圧や持病をお持ちの方はたくさんいらっしゃいます。「私は関係ない」と思っている方も、ぜひこれだけは覚えておいてください。脳梗塞のサインは、以下の頭文字をとって「FAST(ファスト)」と呼ばれています。
F(Face) 顔の片側が下がる、歪む、笑顔がうまくできない
A(Arm) 片腕に力が入らない、両腕を上げると片方が下がる
S(Speech) 言葉がもつれる、ろれつが回らない、言葉が出てこない
T(Time) 発症時間を確認し、すぐに119番!
1つでも当てはまったら、迷わず救急車を呼んでください。「大げさかな」なんて思わなくていいです。むしろ空振りのほうが、何倍もマシです。救急隊員の方は、そのために仕事をしてくれてるんですから。
よく「救急車を呼んでいいのかどうか迷う」という声を聞きます。でも脳梗塞においては、迷っている時間が一番もったいない。脳の細胞は、1分間治療が遅れるだけで約190万個が失われると言われています。「あのとき、もっと早く呼んでいれば」という後悔は、絶対にしてほしくないんです。
そして、「異変に気づく」のは本人よりも周りの人であることが多い。家族や友人の様子がいつもと違うと感じたとき
ためらわずに声をかけて、必要であれば119番を押す勇気を持ってください。今回うちの家族を救ってくれた警察官の方のように、「気づいた人が動く」ことが命を救うんです。
親父はまだリハビリが必要で入院中ですが、再び家庭菜園を楽しめるまでに回復することを祈っています。「早よベランダに戻ってきてや」って、毎回お見舞いに行くたびに言ってます。あのガサツな親父が、土を触りながら「ええ天気やな」って言う日が、また来ますように。
今回のお話が、一人でも多くの方の命を守ることにつながれば、それだけで十分です。皆さんも、ご自身と大切なご家族の「わずかな異変」を、絶対に見逃さないでくださいね。
当院では日々の施術を通じて、皆さんの血圧の変化や体のわずかな違和感に寄り添っています。「こんなこと聞いてええの?」ってこともどんどん聞いてください。こういう「もしもの時の知識」を共有することも、私たちの大事な役目やと思っています。何かあればいつでも気軽に声かけてくださいね!









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