中学生ピッチャーの肘の痛みを治せ!大事な試合に間に合ったのか?

大事な試合に間に合った!変化球の練習で右肘を痛めた中学生ピッチャーが、1ヶ月で復活した話。

 

今日ご紹介するのは、野球肘を発症した中学2年生のピッチャーのお話です。「大事な試合が近いのに、全力で投げられない」そんな焦りと不安を抱えて来院されました。お子さんの真剣な表情と、保護者の方の心配そうな様子が今でも印象に残っています。

成長期の野球少年に多い「野球肘」。早く治したい気持ちはよくわかるのですが、焦りすぎると逆効果になることもあります。今回のケースを通じて、適切なアプローチがどれだけ大切かをお伝えできればと思います。ぜひ最後まで読んでみてください!

 

 

変化球の練習を増やしてから、右肘の内側が痛くなってきた

来院されたのは中学2年生の男の子(以下、宮本くん)。小学2年生から野球を続けてきた、6年選手のピッチャーです。1ヶ月ほど前から変化球の練習を多く取り入れるようになり、投球時に右肘の内側に痛みを感じるようになったとのことでした。

最近では全力で投げることができない状態になってしまい、整形外科でレントゲン検査を受けたそうです。結果は「骨に異常なし」。安静を指示されたものの、「大事な試合が近いので早く治したい」と、保護者の方と一緒に当院へ来院されました。

来院されたときの宮本くんの表情が、少し心配そうで。「試合に間に合うかな」という不安が伝わってきました。保護者の方も「どうにかしてあげたくて」とおっしゃっていて、お二人の気持ちに応えたいなと思いながらお話を聞いていきました。

「変化球の練習を増やしてから、だんだん痛くなってきて…。最近は全力で投げられないんです」

出典:https://www.childrenshospital.org/conditions/little-league-elbow


触診してわかったこと。肘の内側と前腕の筋肉に強い緊張があった

実際に肘の状態を触診で確認していきました。肘の内側にある「内側側副靭帯」の周囲を押さえると、はっきりとした圧痛(押すと痛む感覚)がありました。

さらに、前腕(肘から手首にかけての部分)の屈筋群に強い緊張が認められました。

成長期の選手が過度に投球を繰り返すことで、肘の内側に負担が積み重なっていく

これがいわゆる「野球肘」です。特に変化球は、肘の内側にかかる負荷が大きく、成長期の骨や靭帯にとっては大きな負担になることがあります。

宮本くんの場合、骨には異常がなかったことは不幸中の幸いでしたが、靭帯まわりや筋肉には確実に疲労とダメージが蓄積していました。この状態で無理に投げ続けると、さらに悪化してしまうリスクがあります。まずはしっかり体の状態を整えることが先決だと判断しました。

出典:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4646591/


手技療法・超音波・鍼灸。3つを組み合わせて痛みにアプローチ

施術は3つのアプローチを組み合わせて行いました。

まず、前腕から上腕にかけての筋緊張を和らげる手技療法。筋肉の緊張が続くと血流が悪くなり、回復が遅れてしまいます。丁寧にほぐすことで、筋肉本来の柔軟性を取り戻していきます。

次に、炎症が起きている部位への超音波治療。超音波の振動が深い部分まで届き、炎症を和らげながら組織の回復を促します。痛みの強い時期には特に有効なアプローチです。

さらに、痛みの軽減を目的とした鍼灸施術を行いました。鍼灸は筋肉の緊張をゆるめ、血流を改善し、神経の興奮を落ち着かせる効果が期待できます。スポーツ障害の回復サポートとしても有効です。

施術と並行して、投球フォームの確認と、肩甲骨まわりの柔軟性を高めるストレッチの指導も行いました。フォームの問題や体の硬さが野球肘の原因になっていることも多いので、投げ方そのものを見直すことも大切な治療の一つです。

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8997474/


2週間の投球禁止と週3回の治療。焦らず続けたことが回復への近道だった

宮本くんには、まず2週間は投球を控えてもらうようにお伝えしました。「試合が近いのに…」という気持ちはよくわかります。

でも、ここで無理をすると回復がずっと遅れてしまうこと、しっかりと休みながら治療を続けることが、結果的に一番早く試合に戻れる方法だということをお話ししました。

宮本くんも保護者の方も、真剣に聞いてくださいました。「わかりました、我慢します」という言葉に、この子は絶対に良くなると思いました。

週3回のペースで治療を継続した結果、2週間で痛みが大幅に軽減しました。その後は軽いキャッチボールから段階的に投球を再開し

1ヶ月後には、試合で投げられるまでに回復しました!

大事な試合に間に合いました。本当によかったです。

回復の報告を聞いたとき、宮本くんと保護者の方の笑顔が忘れられません。私まで嬉しくなってしまいました。「試合で投げられた!」という連絡をいただいたときは、本当に胸が熱くなりました。

出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19643334/


再発させないために。投球数の管理と毎日のケアが何より大切

回復後、宮本くんと保護者の方に大切なことをお伝えしました。それは「投球数の管理」と「日々のケアの継続」です。

野球肘は、一度なると再発しやすい怪我です。「治った」と感じてすぐに以前と同じ練習量に戻してしまうと、また同じことが起きてしまいます。投球再開の時期を早めすぎることも再発の大きな原因になります。

そもそも野球肘になってしまった背景には、必ず何か原因があります。投球フォームのクセ、体の柔軟性の不足、練習量のオーバーワーク

この機会にそういったことを見直して、「野球肘にならない体づくり」をしていくことが、長くピッチャーを続けるためにいちばん大切なことだとお伝えしました。

宮本くんにはまだまだ野球を楽しんでほしい。そのためにも、体のことをしっかり知って、自分でケアできる選手になってほしいなと思っています。

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10788149/


「早く治したい」気持ちはわかる。でも、焦りが一番の敵です。

今回のケースを通じて、改めて感じたことがあります。成長期の選手にとって、「休むこと」は決して後退ではないということです。適切に休んで、体をしっかり整えてから戻ることが、結果的に一番早く・強く復帰できる方法なんです。

「肘が痛いけど試合に出たい」「休んだらレギュラーを外されるかも」

そういう不安はよくわかります。でも、無理をして取り返しのつかない怪我につながってしまうこともあります。成長期の骨や靭帯は、大人よりずっとデリケートです。

お子さんの肘や肩の痛みが気になっている保護者の方、「少し痛いけど大丈夫かな」と思っているプレーヤーの方、ぜひ一度ご相談ください。

早めに対処することが、長くスポーツを楽しめる体を守ることにつながります。一緒に考えていきましょう!

最後まで読んでくださってありがとうございます!

「うちの子も同じような症状かも」「自分も肘が痛くて…」という方、どうか一人で抱え込まず、お気軽にご相談くださいね。お話を聞くことが大好きなので、まずはなんでも話してください☺

スタッフ一同、心よりお待ちしております。

宮本

出典:https://www.childrenshospital.org/conditions/little-league-elbow

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