格闘技で首を叩きつけられてから腕がしびれるようになった話
どうも、吉田です!
今回はちょっとインパクトのある症例をご紹介します。
50代の男性で、サービス業をされている方です。趣味で格闘技をされていて、練習中に畳に首から叩きつけられてしまったんです。その瞬間から左肩から親指にかけてのしびれが続くようになって、当院に来られました。
「骨に異常なし」って言われたのに、しびれは全然消えない。こういうケース、実はすごく多いんです。レントゲンで異常がないからといって、「じゃあ問題なし」とはならないんですよ。
骨には写らないけど、ちゃんと問題が起きているんです。これ、めちゃくちゃ大事なポイントです。今日はそのあたりも含めてしっかりお話しします。

来院時の状態|骨に異常なしでも症状はリアルにある
整形外科でレントゲンを撮ったところ、ストレートネックと診断されました。ただ、椎間板や骨と骨の間隔には特に異常が見られなかったそうです。「骨は大丈夫ですよ」と言われたものの、しびれは続いたまま。不安になって当院に来てくださいました。
来院時の状態を確認してみると、安静にしていてもじわっとしたしびれが三角筋のあたりから前腕の外側、親指にかけて続いている状態でした。
首を後ろに反らせたり、左に傾けたりするとしびれが増強する。長時間の接客姿勢でも症状が悪化する。
触ってみると、頸部の動きがかなり制限されていました。熱感はなかったんですが、僧帽筋の上部と肩甲骨の間のあたりに強い緊張がありました。
ここで一つ重要な話をします。レントゲンで骨に異常がなくても、神経根や周囲の軟部組織への影響は残り得るんです。
骨は正常でも、筋肉・筋膜・神経の通り道に問題が起きていれば、しびれや痛みはしっかり出ます。「骨が大丈夫だから問題ない」ではなく、「骨以外に何が起きているか」を丁寧に評価することが大切です。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/cervical-spondylosis/symptoms-causes/syc-20370800
なぜ首から親指にかけてしびれるのか
「首を叩きつけられて、なんで親指がしびれるの?」って思いますよね。ちゃんと理由があります。
首の骨(頸椎)からは、腕・手・指に向かう神経が出ています。この神経は、どの高さから出るかによって、症状が出る場所が決まっています。親指側(親指・人差し指・中指あたり)のしびれは、頸椎の6番目あたりから出る神経(C6神経根)が関係していることが多いです。
首に強い衝撃が加わると、この神経の出口付近の組織に炎症が起きたり、周囲の筋肉が硬くなって神経を圧迫したりします。骨そのものが変形していなくても、軟部組織の状態によって神経への影響は十分に起こります。
さらにストレートネックがあると、首の自然なカーブが失われることで、頸椎への負荷が均等に分散されなくなります。特定の部位に力が集中しやすくなり、神経周囲の組織がより刺激を受けやすい状態になります。
長時間の接客姿勢で症状が悪化していたのも、この理由からです。前傾みになりやすい接客の姿勢は、ストレートネックをさらに強調し、神経への圧迫を増やします。仕事中ずっとしびれを感じながら立ち続けるのは、相当しんどかったと思います。

出典:https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/herniated-disk
実際に行った治療
治療はいくつかを組み合わせて行いました。
まず超音波療法です。斜角筋・胸鎖乳突筋・僧帽筋上部に対して行いました。超音波の温熱効果と機械的振動によって、深部の炎症を抑えながら血流を促進します。
表面からは届きにくい深い部分の組織に直接働きかけられるのが超音波の強みです。首周りの筋肉は層が深く、手技だけではアプローチしにくい部分があります。そこを超音波でしっかりケアします。
次に鍼灸治療です。天柱・風池といった頸部の血行改善に効果的なツボへの刺激を行いました。しびれを誘発しないよう、心地よいと感じられる範囲で丁寧に刺激を加えていきます。
鍼灸は神経系への働きかけと、筋緊張の緩和を同時に行えるため、こういった神経症状には特に有効です。
そして手技療法です。頸部と肩甲帯の筋緊張を緩和し、可動域の改善を目的に行いました。首の動きが制限されていた状態から、少しずつ動ける範囲を広げていきます。
強い刺激を与えると症状が悪化することがあるため、痛みが出ない範囲で丁寧に進めていきました。

出典:https://www.clevelandclinic.org/health/treatments/22483-acupuncture
治療の経過と自主トレーニングの重要性
施術を重ねるごとに、少しずつ変化が出てきました。
最初は常にじわっとしびれが続いていた状態から、「さっきはしびれてなかった」という時間が出てくるようになりました。これを神経症状の間欠化と言います。ずっと続いていた症状が、途切れ途切れになってくる。これは回復に向かっているサインです。
さらに肩甲帯の安定性が出てきて、胸椎の動きも改善してきました。首だけでなく、背骨全体の動きが改善されることで、頸椎への集中した負荷が分散されていきます。
施術と並行して、痛みが落ち着いてきた段階から自主トレーニングも取り入れてもらいました。肩甲骨周囲を安定させる筋肉を鍛えること・胸椎の柔軟性を高めるストレッチ・首周りのインナーマッスルを意識した運動。これらを無理のない範囲で続けてもらっています。
施術で状態を整えながら、自主トレーニングで体を強くしていく。この両輪が揃うことで、症状の再発を防ぎながら回復していくことができます。現在は格闘技への段階的な復帰を目指して、引き続き通院中です。「また練習に戻りたい」というモチベーションが、回復への大きな原動力になっています。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/cervical-spondylosis/symptoms-causes/syc-20370800
再発予防と格闘技復帰に向けて
今回の症例で特に大事だと感じたのは、再発予防の定着です。
格闘技に復帰するということは、また首に強い負荷がかかる可能性があるということです。だからこそ、復帰前にしっかりと体の土台を作っておくことが絶対に必要です。
具体的には、肩甲骨を安定させる筋肉を鍛えること。肩甲骨がしっかり安定していると、首への負担が大幅に軽減されます。逆に肩甲骨が不安定な状態で格闘技をすると、技をかけられたときに首への衝撃が直接伝わりやすくなります。
また胸椎の柔軟性も非常に重要です。胸椎が硬いと、その分の動きを頸椎が補おうとします。胸椎がしなやかに動ければ、頸椎への集中した負荷が減り、神経への刺激も起きにくくなります。

「骨に異常なし」と言われても、しびれや痛みが続いているなら、骨以外の部分に問題が起きているということです。そのままにしておくと、じわじわと症状が慢性化していきます。
「レントゲンで大丈夫って言われたから」と放置せず、症状がある間はしっかり対処することが大切です。
首のしびれ・腕のしびれ・肩のだるさが続いている方、スポーツや日常生活での衝撃後から症状が出ている方、ぜひ一度ご相談ください。骨だけでなく、神経・筋肉・軟部組織まで含めてしっかり評価して、一緒に改善していきましょう。
吉田でした。
出典:https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/herniated-disk









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