痛み止めが放せない首・肩の痛みに悩む歯科助手が薬を手放すまで!!

痛み止めがないと仕事を続けられない

こんにちは、宮本です!

今回ご紹介するのは、歯科助手として働く44歳の女性です。

歯科助手の仕事は、患者さんのお口の中を確認しながら器具を準備したり、先生の治療をすぐそばで補助したりと、細かな手先の作業が続きます。立って動き回る時間もありますが、治療中は前かがみになり、首を少しひねった状態を長く続けることも少なくありません。

この方も、仕事中は前傾姿勢になることが多く、いつの間にか首から肩甲骨の上あたりまで、常に重たい張りを感じるようになっていました。

最初のうちは、仕事が終わって家に帰れば少し楽になっていたそうです。

しかし、忙しい日が続くにつれて、休んでも首や肩の張りが取れにくくなりました。そして、次第に頭痛が週に2~3回ほど起こるようになったのです。

頭痛が出ると、頭を動かすだけでもつらく、仕事へ集中できません。歯科助手は、先生から器具を求められたときに素早く対応しなければならず、患者さんへの気配りも必要です。

痛みを我慢しながらできるほど、簡単な仕事ではありません。

そのため、頭痛が強い日は鎮痛薬を飲み、何とか仕事を乗り切っていました。

薬を飲めば、その場では少し楽になります。しかし、数日後にはまた頭痛が起こります。そして、また薬を飲む。その繰り返しになっていました。

「仕事を休むわけにはいかないから、薬を飲むしかありません」

そう話されていましたが、本当は薬に頼り続けることへの不安を感じていました。

頭痛が起こるたびに、「今日は薬を飲まずにいけるかな」と考えます。それでも痛みが強くなり、結局は薬を手に取る。そんな毎日から抜け出したいという思いが、来院のきっかけでした。

頭痛は、すべてが同じ原因で起こるわけではありません。片頭痛、緊張型頭痛、首の問題に関連する頭痛など、さまざまな種類があります。

また、片頭痛では、ズキズキする痛みだけでなく、吐き気、光や音への過敏、首のこわばりなどが伴う場合があります。ストレスや睡眠の変化が発作のきっかけになることもあります。

そのため、「肩がこっているから頭痛が起きている」と、最初から決めつけることはできません。

出典
Mayo Clinic
「Migraine – Symptoms and causes」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/migraine-headache/symptoms-causes/syc-20360201


首を触ると分かった、長年ため込んだ負担

まずは、頭痛がいつ起きるのか、どこから痛みが始まるのか、どのくらいの頻度で薬を飲んでいるのかを詳しく聞きました。

話を聞いていくと、頭痛は仕事が忙しい日に強くなりやすく、特に長時間同じ姿勢が続いたあとに起こることが多いと分かりました。

歯科助手の仕事中は、患者さんの口元をのぞき込むために、頭が体より前へ出やすくなります。さらに、先生や器具の位置に合わせて、首を左右どちらかへ少しひねった姿勢が続きます。

数分であれば問題がなくても、その姿勢が何時間も積み重なると、首や肩の筋肉は休むことができません。

首から肩甲骨の上を確認すると、僧帽筋上部線維に強い張りがありました。さらに、耳の後ろから胸元へ伸びる胸鎖乳突筋にも、硬くなった部分がみられました。

本人も、軽く触れただけで「そこです。そこがいつも気になります」とすぐに分かるほどでした。

ただし、筋肉が硬いからといって、それだけで頭痛の原因を断定することはできません。

首の組織に由来する頭痛は、頚性頭痛と呼ばれることがあります。頚性頭痛では、首から始まった痛みが後頭部や頭の前方へ広がったり、首の動きによって症状が強くなったりすることがあります。

一方で、頚性頭痛は片頭痛や緊張型頭痛と似た症状を示すことがあり、見分けるのが難しいとされています。医療機関では、問診や身体診察に加え、必要に応じて画像検査などを行い、ほかの病気がないかを確認します。

今回は、首や肩の状態だけでなく、頭痛の出方、仕事中の姿勢、睡眠、薬の使用状況まで確認しながら、無理のない範囲で施術を進めることにしました。

一番つらかったのは、頭痛そのものだけではありません。

「また仕事中に痛くなったらどうしよう」

朝からそう考えてしまい、痛くなる前に薬を飲むこともあったそうです。

痛みが起きてから困るだけでなく、痛みが起きるかもしれないという不安にまで、毎日の生活を支配され始めていました。

このままずっと薬を持ち歩きながら働かなければならないのか。そんな諦めに近い気持ちを抱えながらも、「できることがあるなら試してみたい」と施術を始められました。

出典
Cleveland Clinic
「Cervicogenic Headache: What It Is, Symptoms & Treatment」
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/cervicogenic-headache


薬だけに頼る毎日を変えるため、週2回の施術を開始

施術では、まず僧帽筋上部線維や胸鎖乳突筋など、特に緊張の強かった部分を確認しながら、手技療法を行いました。

強く押せばよいというものではありません。

頭痛がある方は、首や肩の刺激に敏感になっていることもあります。状態を確認せずに強い刺激を加えると、かえって不快感が残る可能性があります。

そこで、本人の感覚を聞きながら、硬くなった筋肉へ少しずつ働きかけました。特に張りの強い部分には、トリガーポイントを意識した手技を取り入れ、首や肩を動かしたときのつっぱりを減らすことを目指しました。

続いて、首から肩甲骨上部にかけて超音波施術を行いました。

超音波施術は、人の耳には聞こえない高い周波数の振動を利用する施術です。使用する部位や症状を確認しながら、出力や照射時間を調整します。

また、緊張が強く残っている筋肉には鍼灸施術を行いました。

表面を手でほぐすだけでは変化が出にくい部分もあるため、刺激量に注意しながら、深部の緊張へ働きかけました。

目的は、単にその場で肩を軽くすることだけではありません。

首や肩の緊張が強くなっていく流れを少しずつ変え、仕事をしても、以前のようにすぐ頭痛へつながらない状態を目指しました。

最初は、週2回のペースで施術を行いました。

施術を始めて比較的早い段階で、「以前より頭痛がましな日が増えました」と話されるようになりました。

もちろん、すぐに頭痛が完全になくなったわけではありません。

仕事が忙しく、前かがみの姿勢が長く続いた日は、首や肩が張り、頭が重くなることもありました。それでも、以前のように毎回強い頭痛へ進むことが少なくなり、鎮痛薬を飲む回数も少しずつ減っていきました。

薬を一度も飲まなかった日には、「今日は薬なしで仕事を終えられました」と、うれしそうに話してくださいました。

これまで当たり前のように薬を持ち歩いていた方にとっては、たった一日でも大きな変化です。

ただし、鎮痛薬を自己判断で急に中止することを勧めているわけではありません。頭痛薬の使用方法については、医師や薬剤師に相談することが大切です。

また、鎮痛薬を頻繁に使用することで、薬剤の使用過多による頭痛が起こる場合があります。Mayo Clinicでは、一部の鎮痛薬や片頭痛薬を頻繁に使用すると、頭痛を繰り返す悪循環につながる可能性があると説明しています。

「薬を飲まないと働けない」という状態から、「今日は飲まずにいけるかもしれない」と思える状態へ。

まだ途中ではありましたが、諦めかけていた毎日に、少しずつ変化が見え始めました。

出典
Mayo Clinic
「Migraine – Symptoms and causes」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/migraine-headache/symptoms-causes/syc-20360201


職場だけでなく、家での姿勢にも原因が隠れていた

施術を続けるなかで、仕事中の姿勢だけを見直せばよいわけではないことも分かってきました。

歯科助手として働いている時間は長く、患者さんの口元をのぞき込みながら、首を前へ倒したり、少しひねったりする姿勢が続きます。これは首や肩にとって大きな負担です。

しかし、仕事が終わって自宅へ帰ってからも、首や肩を十分に休ませられていませんでした。

特に気になったのが、就寝前のスマートフォンです。

ベッドに入り、横になりながらスマートフォンを見ることが習慣になっていました。仕事中に前へ傾いていた首を、家でも曲げたままにしていたのです。

「仕事が終わったから体を休めている」と思っていても、首だけを見ると、まだ仕事の続きをしているような状態でした。

さらに、スマートフォンを見ているうちに寝る時間が遅くなり、睡眠時間が短くなる日もありました。

そこで、就寝直前までスマートフォンを見る習慣を少しずつ見直してもらいました。

いきなり「今日から禁止です」と言っても、なかなか続きません。まずは寝る15分前にスマートフォンを置くところから始めました。

また、横向きで画面を見るときに首を大きく曲げたり、枕に頭を置いたまま首だけをひねったりしないように注意してもらいました。

日中についても、同じ姿勢を長く続けないことが大切です。

治療の合間や準備の時間に、あごを軽く引く、肩をゆっくり回す、肩甲骨を動かすなど、短時間でできる動作を取り入れてもらいました。

何十分も運動する必要はありません。大切なのは、首や肩が固まり切る前に、一度姿勢を変えることです。

頭痛には、ストレス、首周辺の筋緊張、睡眠不足などが関係する場合があります。Johns Hopkins Medicineでも、緊張型頭痛にはストレスや頭頚部の筋緊張が関係し、睡眠不足が頭痛のきっかけになることがあると説明されています。

職場で受けた負担を、家で回復させる。

その当たり前のようで難しい習慣を作ることが、薬だけに頼らない状態を目指すうえで大切な取り組みになりました。

出典
Johns Hopkins Medicine
「Tension Headaches」
https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/headache/tension-headaches


週2回から週1回へ、薬を飲まない日が増えていった

施術を始めた当初は、週2回のペースで来院してもらいました。

最初のころは、首から肩甲骨の上にかけての張りが非常に強く、仕事が忙しい日には、施術後に楽になっても再び硬さが戻ることがありました。

それでも、施術と生活習慣の見直しを続けるうちに、少しずつ頭痛が起こる回数が減っていきました。

以前は週に2~3回ほど頭痛が起こり、鎮痛薬を飲まなければ仕事を続けることが難しい日もありました。

ところが、施術を始めてからは、頭が重くなっても強い痛みに進まない日が増えてきました。

「今日は少し肩が張っていますが、薬を飲まずに仕事ができました」

そんな報告を聞く回数が、少しずつ増えていきました。

一度でも薬を飲まずに一日を終えられると、それが自信になります。

以前は、頭痛が始まる前から不安になり、念のために薬を飲むこともありました。しかし、首や肩の張りが強くなる前に休憩を取り、自宅でも姿勢や睡眠を意識できるようになると、慌てて薬を手に取ることが少なくなりました。

状態が落ち着いてからは、施術の回数を週2回から週1回へ変更しました。

通院回数を減らしても強い頭痛が繰り返されないかを確認しながら、仕事や家庭での過ごし方も継続して見直しました。

現在では、週1回の施術を続けながら、鎮痛薬をほとんど飲まずに過ごせるようになっています。

頭痛を恐れながら一日を始めていた状態から、仕事の予定を見て「今日は忙しいけれど大丈夫」と思える状態へ変わってきました。

これは、首や肩を施術したことだけによる変化ではありません。

本人が、仕事中の姿勢、短い休憩、就寝前のスマートフォン、睡眠時間など、自分で変えられる部分に根気強く取り組んだ結果でもあります。

Massachusetts General Hospitalでは、頭痛への対応として、首の痛みや姿勢、作業環境を評価する理学療法も行われています。頭痛を考えるときは、痛む場所だけでなく、姿勢や日常動作まで含めて確認することが重要です。

出典
Massachusetts General Hospital
「Division of Headache and Facial Pain」
https://www.massgeneral.org/neurology/treatments-and-services/headache-and-neuropathic-pain-unit


頭痛を我慢する毎日から、体を守れる毎日へ

初めて来院されたときは、首や肩がつらいというよりも、「薬を飲まなければ仕事ができない」ということに強い不安を感じていました。

歯科助手の仕事を辞めたいわけではありません。

患者さんと接することにも、先生の治療を支えることにも、やりがいを感じています。

それでも、仕事を続けるほど頭痛がひどくなるように感じ、「この先もずっと薬を飲み続けるのだろうか」と悩んでいました。

しかし、仕事を変えなくても、体への負担を減らす方法はあります。

患者さんの口元をのぞき込むときに、首だけを大きく曲げない。短い時間でも姿勢を戻す。忙しい日ほど肩の力を抜く。帰宅後は、寝ながら長時間スマートフォンを見ない。

一つひとつは、とても小さなことです。

けれども、小さな負担が毎日積み重なって頭痛につながるのであれば、小さな改善を毎日積み重ねることにも意味があります。

現在も、仕事が忙しい日には首や肩が張ることがあります。

大切なのは、まったく疲れない体を目指すことではありません。

張りが強くなってきたことに早く気づき、頭痛がひどくなる前に休むこと。自宅での過ごし方を調整すること。そして、必要なときには体の状態を確認することです。

以前は、頭痛が起こってから薬で抑えるしかありませんでした。

今では、自分の首や肩がどのようなときに張りやすいのかが分かり、悪化する前に対応できるようになりました。

頭痛には、緊張型頭痛や片頭痛などの一次性頭痛だけでなく、ほかの病気によって起こる二次性頭痛もあります。

突然経験したことのない激しい頭痛が起きた場合や、手足のしびれ・脱力、言葉が出にくい、意識の変化、発熱などを伴う場合は、整骨院で様子を見るのではなく、速やかに医療機関を受診する必要があります。Johns Hopkins Medicineでも、頭痛に視覚の変化、しびれ、言語の変化、筋力低下などが伴う場合があると説明しています。

反対に、仕事の姿勢や生活習慣に伴って首や肩の張りを感じ、同じような頭痛を繰り返している場合には、毎日の体の使い方を一度振り返ってみてください。

「仕事だから仕方がない」「薬を飲めば何とかなる」と我慢し続ける必要はありません。

仕事の姿勢だけでなく、睡眠やスマートフォンの使い方など、普段の生活まで丁寧にお聞きしながら、一緒に改善できる方法を考えていきます。

頭痛や首、肩の張りで仕事がつらくなっている方は、我慢を重ねる前にご相談ください。ご来院をお待ちしています。

出典
Johns Hopkins Medicine
「Headache」
https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/headache

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