子供の成長について

こんにちは、宮本です。

今日は「野球をしている子供の身体の成長」について書いていこうと思います。少年野球の現場や、整骨院で子供たちの身体を見ていると、「成長期の身体」への理解が足りないことで起こっているトラブルを、本当に多く目にします。

まず大前提として知っておいてほしいのは、子供の身体は大人の体を小さくしたものではない、ということです。

構造も、反応も、回復の仕方も違います。この理解があるかどうかで、練習内容や声かけ、ケガの予防は大きく変わってきます。


子供の身体の変化

まず基本的な話からですが、子供の成長には大きく分けて二つの方向があります。

ひとつは縦方向、つまり身長が伸びる成長。

もうひとつは横方向、体重が増えたり筋肉がついたりして、身体が大きくなる成長です。

特に重要なのが縦の成長、身長です。身長の伸びは、成長期という限られた期間にしか起こりません。

一般的には男子で12歳前後、女子で10歳前後が最も大きく伸びる時期と言われています。ただし、これはあくまで平均で、成長のスピードやタイミングにはかなり大きな個人差があります。

ここで勘違いされやすいのが、「成長=身体がそのまま大きくなる」というイメージです。

実際には、すでに完成された骨が膨らんで大きくなっているわけではありません。イメージとしては、骨の端に工事現場があって、そこに少しずつ材料が継ぎ足されて骨が長くなっていく、そんな感じです。

この工事現場こそが骨端線です。

骨端線が残っている間は、骨は縦に伸び続けます。そして、この骨端線が閉じることで、縦方向の成長は止まります。工事現場が撤去された状態ですね。

骨端線についてはこちら

ただし、成長は一直線ではありません。一時的に身長が止まったように見えても、ある時期に急にグッと伸びることもあります。だから「最近伸びてないからもう成長は終わり」と判断するのは非常に危険です。

成長が止まったかどうかを一番正確に判断できるのはレントゲンです。

子供の手のひらの骨を見ると、骨端線がはっきり残っており、スカスカした状態になっています。

しかし、ケガをしていない状態でレントゲンを撮ることは医療法上できません。つまり、簡単に確認する方法はないのが現実です。

その代わりの目安として、男子に限った話ではありますが、顎ひげの変化が参考になることがあります。柔らかい産毛のようなひげから、大人と同じような硬いひげが生えてくると、おおよそ骨端線が閉じてきている可能性が高いと言われています。

ただし、大学生になってもひげがほとんど生えない人もいますので、これも絶対的な判断材料にはなりません。

こうした点からもわかるように、個人の発達スピードには非常に大きな差があるということです。だからこそ、「同じ学年だから同じことをさせる」という指導は、身体の成長という視点ではかなり乱暴だと言えます。


骨の成長と筋力トレーニングの関係

ここまでは主に骨の成長について書いてきましたが、次は筋肉の成長について触れていきます。

よく聞かれる質問が「成長期に筋力トレーニングをしていいのか?」というものです。

「筋トレは高校生になってからでいい」

「中学生にはまだ早い」

こういった話、聞いたことがあると思います。これは半分正解で、半分間違いです。

まず結論から言うと、重たい器具を使う筋力トレーニングは、骨端線が閉じてから行う方が良いです。その理由は、成長ホルモンの使われ方にあります。

成長期の子供は、成長ホルモンが多く分泌されています。骨端線が残っている間、この成長ホルモンは主に「骨を伸ばす方向」に使われます。ところが、骨端線が閉じると、今度は筋肉を増やしたり、身体を強くする方向に使われるようになります。

つまり、骨端線が閉じてから筋力トレーニングを行う方が、効率よく筋肉がつきやすいということです。逆に、成長期の早い段階で無理な負荷をかけると、骨に負担が集中し、ケガのリスクが高まります。

興味深いデータとして、大学野球の選手に「技術的に一番成長したと感じる時期はいつか」というアンケートを取った結果があります。すると多くの選手が「中学高学年」を挙げました。この時期は、ちょうど骨端線が閉じ始め、身長の成長から筋肉の成長へと身体の方向性が切り替わる時期と重なります。

だからと言って、小学生や中学生が何も筋トレをしてはいけない、というわけではありません。自分の体重を使ったトレーニングや、正しいフォームを身につけるトレーニングは、むしろ積極的に行うべきです。ただし、目的は「筋肉を大きくする」ことではなく、「身体をうまく使えるようになる」ことです。

子供のスポーツ障害 出典

子供の身体は、大人の身体のミニチュアではありません。

成長の段階によって、練習内容やトレーニングの考え方を変える必要があります。

・骨が伸びている時期は、骨を守る意識が最優先

・重たい筋力トレーニングは骨端線が閉じてから

・成長スピードには大きな個人差がある

この視点を持つだけで、子供のケガは確実に減らせます。





内容は「野球動作 × 成長期の身体」「現場で何を見ればいいか」「大人の関わり方」にしっかり踏み込みます。


成長期の身体と野球動作のズレ

後半では、成長期の子供の身体と、野球という競技動作がどうズレやすいのかについて話していきます。

ここを理解していないと、「頑張って練習しているのにケガが増える」という状態になりがちです。

成長期の子供は、身長が急に伸びる時期があります。この時期、骨は先に伸びますが、筋肉や腱、神経はそれに少し遅れてついてきます。つまり、一時的に身体のバランスが悪くなります。

よくあるのが

「今まで普通にできていた動きが、急にぎこちなくなる」

「急に身体が硬くなったように見える」

という変化です。

これはサボっているわけでも、センスがなくなったわけでもありません。単純に、身体の設計図が書き換わっている途中です。この時期に以前と同じ感覚で負荷をかけると、痛みや故障につながりやすくなります。


投げる動作と成長期リスク

投球動作は、野球の中でも特に全身を使います。

下半身、体幹、肩、肘、手首。すべてが連動して初めてスムーズな動作になります。

ところが成長期には、

・身長が伸びて下半身の感覚が変わる

・肩関節が不安定になりやすい

・肘周囲に強い牽引力がかかる

こうした条件が重なります。

その結果、身体全体で投げられなくなり、腕だけで投げるフォームになりやすくなります。これは投球障害の典型的な入り口です。

「最近、肘が下がる」

「最後に腕だけが振られる」

「ボールが急に抜け始めた」

こうしたサインが出ていれば、球数が少なくても注意が必要です。

野球肘についての出典


走る・止まる・切り返す動作も要注意

野球では、投げる動作ばかりに注目されがちですが、実は走る・止まる・方向転換も成長期には大きな負担になります。

身長が伸びている時期は、

・股関節の可動域が一時的に狭くなる

・太ももやふくらはぎが張りやすくなる

・アキレス腱や膝下に違和感が出やすい

こうした変化が起こります。

スライディングや急停止、ベースランニングの切り返しで、「膝が痛い」「かかとが痛い」と訴える子は、成長期特有の負荷が原因になっていることが多いです。

これも「使いすぎ」ではなく、「成長とのズレ」です。


スイング動作と成長の関係

バッティングも同じです。

上半身が先に大きくなった子、下半身が先に伸びた子では、スイングの感覚が全く違います。

成長期には、

「急にバットが振れなくなった」

「タイミングが合わなくなった」

ということがよく起こります。

この時期にフォーム修正を強く求めすぎると、無理な動作を覚えてしまい、腰や肩に負担が集中します。

大切なのは、一時的に調子が落ちる時期があるのは普通だという理解です。


指導者・親が見るべきポイント

成長期の子供に対して、大人が見るべきポイントは技術よりも以下です。

・動きが急に雑になっていないか

・練習後や翌日に痛みが残っていないか

・「違和感」を言葉にできているか

・疲れているのに我慢していないか

特に最後の「我慢」は要注意です。

真面目な子ほど、自分から言いません。

「痛い?」ではなく

「今日、どこか変な感じなかった?」

こう聞くだけで、出てくる言葉は変わります。


成長期は「できない時期」も大事

成長期には、一時的にパフォーマンスが落ちる時期があります。

これは悪いことではありません。むしろ、次の成長の準備期間です。

この時期に

・練習量を少し落とす

・投げる以外の動きを増やす

・基礎的な身体操作に戻る

こうした調整ができるチームや家庭は、結果的にケガが少なく、長く野球を続けられます。

野球をしている子供の身体は、常に変化の途中にあります。

昨日できたことが、今日できなくなることもあります。

それは後退ではありません。成長です。

・成長期は身体のズレが起こりやすい

・ケガの原因は努力不足ではない

・大人の理解がケガを減らす

子供を一人のアスリートとして尊重すること。

それは、厳しくすることではなく、未来を守る判断をすることです。

野球を好きでい続けられる身体を守る。

その役割は、子供ではなく大人にあります。

 

 

関連記事

  1. おうち時間を快適に!アロマテラピー入門編

  2. 気象病って知ってる?身近に迫る病の正体は!?

  3. 起きたら急に肩が上がらない!?凍結肩って知ってる??

  4. 根違い?急な首の痛み?原因は積み重なったコリ

  5. 子供にプロテインを飲ませるのはあり?なし?徹底解説!!

  6. 試合中の言葉でパフォーマンスがかわる!?言っていい事ダメな事…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。