水分補給の重要性あなたは理解してますか?

今回は前回に引き続き「熱中症」について書いていこうと思います。どうも、柔道整復師の宮本です。前回は、熱中症がどうやって起こるのか、重症度の段階や応急処置について説明しました。もしまだ読んでいない方がいれば、ぜひそちらも先に読んでみてください。

暑い夏!怖いのは運動中の熱中症!なった時の対処法とならないための予防法

今回は特に質問の多い「水分補給」に絞って、もう少し踏み込んで話をします。スポーツをしている本人はもちろん、見守る親御さんにもぜひ知っておいてほしい内容です。

まず大前提として知っておいてほしいのが、人間の身体はほとんど水でできている、という事実です。

成人でおよそ60%、子どもになると70〜75%が水分です。子どもは体が小さく、新陳代謝も活発なので、実は大人以上に水分管理がシビアです。「ちょっと喉渇いたな」では、もう遅い場合もあります。

身体の水分についてはこちら

体重のうち2%の水分が失われると、軽い脱水状態になります。

この段階で、喉の渇き、集中力の低下、パフォーマンスの低下が始まります。4%まで進むと、頭痛やめまい、吐き気が出てきます。6%になると汗が止まり、体温調整ができなくなり、一気に熱中症が悪化します。

夏の炎天下で「さっきまで汗だくだったのに、急に汗が引いた」というのは、実はかなり危険なサインです。汗が止まった=回復ではありません。限界が近い合図です。

現場でよくあるのが「ちゃんと水は飲んでます」という言葉です。

ここで大事なのは「どれくらい」「いつ」「何を」飲んでいるかです。

ただの感覚任せでは足りません。スポーツには運動強度という考え方があります。簡単に言うと、どれくらいきつい運動か、どれくらい長く続くか、という視点です。

例えばサッカーやバスケットボール、陸上の短距離や中距離種目は、試合時間そのものは1時間以内でも、瞬間的な強度は75〜100%まで上がります。

このタイプの競技では、始める前に250〜500ml、競技中に500〜1000mlを目安に水分を摂る必要があります。「途中で飲む時間がない」は、理由になりません

飲めない環境のほうが危険です。

野球やマラソンのように1〜3時間続く競技では、最大強度は少し下がりますが、その分、累積で失われる水分量が増えます。競技前に250〜500ml、競技中は1時間ごとに500〜1000mlを目安にしましょう。

特にマラソンでは、喉の渇きを感じる前から、計画的に飲むことが重要です。

さらに3時間以上続くウルトラマラソンやトライアスロンでは、水分だけでなく塩分が非常に重要になります。

汗と一緒にナトリウムが大量に失われると、水だけを飲んでも体に吸収されず、逆に体調を崩します。この場合も競技前250〜500ml、競技中は1時間ごとに500〜1000mlを基本に、必ず塩分を補給してください。

スポーツ時の水分量に関してはこちら

また、忘れがちですが、水分は汗や尿だけで失われるわけではありません。皮膚や呼吸からも、水蒸気として常に失われています。

暑い日は何もしていなくても、身体の中の水分は減り続けています。だからこそ「運動していないから大丈夫」は通用しません。

選手本人はもちろんですが、指導しているコーチや、応援している親御さんも要注意です。「子どもに飲ませる前に、自分が倒れる」なんて現場、実際にあります。

大人は我慢しがちですが、それが一番危ない。周りの大人が、こまめに飲む姿を見せることも、立派な予防策です。

ここからもう少し、現場目線の話をします。

僕は整骨院で日々いろんな年代の患者さんを診ていますが、夏場になると必ず増えるのが「なんとなくしんどい」「足がつる」「頭が重い」という症状です。

検査をしても大きな異常はない。でも話を聞くと、ほぼ全員が水分摂取量不足です。

特に高齢の方は、喉の渇きを感じにくくなっています。つまり、気づいた時点ですでに遅れ気味です。

子どもも同じで、夢中になると飲みません。

親としては「ちゃんと飲みや」と言っているつもりでも、実際どれだけ飲んだかを把握していないことがほとんどです。

水筒の減り具合を見る、休憩のたびに声をかける、これだけでもリスクは大きく下がります。

ここから後半です。後半では、水分だけでなく「身体から失われているのに、意外と意識されていないもの」についても説明していきます。

現場でよくある誤解を整理しながら、熱中症を防ぐために本当に必要な考え方をまとめます。

まず、水分とセットで必ず考えなければならないのがナトリウム、いわゆる塩分です。

汗はただの水ではありません。汗の中にはナトリウムを中心とした電解質が含まれています。大量に汗をかくと、水分と一緒にこれらの電解質も体外へ流れ出ていきます。

水だけを補給し続けると、体の中のナトリウム濃度が薄まり、結果として体が正常に働かなくなります。

この状態は低ナトリウム血症と呼ばれ、頭痛、吐き気、だるさ、ひどい場合は意識障害を引き起こします。

水を飲んでいるのに調子が悪くなる、足がつる、力が入りにくい、こういった症状が出たときは塩分不足を疑ってください。現場では本当によく見ます。

ナトリウム補給の方法としては、スポーツドリンク、塩タブレット、梅干し、おにぎりなどがあります。ただし、スポーツドリンクは糖分が多いものもあるため、薄めて飲むのがおすすめです。

1.5倍から2倍程度に薄めると吸収がよくなり、胃腸の負担も減ります。甘すぎると飲む量自体が減ってしまうこともあります。

次に重要なのがカリウムです。カリウムは筋肉の収縮や神経伝達に関わるミネラルで、不足すると筋肉がつりやすくなります。

汗と一緒に失われるため、長時間の運動では注意が必要です。バナナやオレンジ、補給用ゼリーなどをうまく活用してください。

さらにマグネシウムやカルシウムも大切です。

これらは筋肉や神経の働きを安定させる役割があります。足が頻繁につる人は、水分だけでなくミネラル全体が不足しているケースが多いです。

普段の食事内容が、そのまま夏のコンディションに影響します。

身体に必要なミネラル等についてはこちら

ここでよくある勘違いが「運動中だけ気をつければいい」という考えです。

実際は前日までの食事、睡眠、水分摂取ですでに勝負は決まっています。朝ごはんを抜く、寝不足、前日の飲酒が残っている状態での運動は、かなり危険です。

特に大人は要注意です。汗をかきにくく、喉の渇きを感じにくい。

その上、自分は大丈夫という過信があります。実際、熱中症で倒れる大人は少なくありません。指導者や親が倒れると、その場は一気に危険になります。

もう一つ失われるものとしてエネルギーも重要です。

糖質は体温調整を支える燃料です。

長時間の運動では糖質が枯渇し、結果として熱中症になりやすくなります。スポーツドリンクの糖分は悪ではありません。必要な場面では必要な存在です。

ただし、運動量が少ない人が甘い飲み物を大量に摂るのはおすすめしません。運動量と補給量のバランスが大切です。

運動後の補給も重要です。失われた水分量の1.2〜1.5倍を目安に補給すると回復が早まります。

一気飲みは避け、数回に分けましょう。

ここからは現場で多いケースです。水は飲ませているのに熱中症になるケース、その多くがナトリウム不足です。足がつったから水を飲ませる、これも間違いです。

こういう時は塩分補給が必要です。

経口補水液は、明らかな脱水時に有効です。予防用ではありませんが、体調不良時には役立ちます。

暑熱順化という考え方も大切です。

急に暑い環境で激しい運動をすると誰でも倒れやすくなります。シーズン初期ほど注意してください。

食事では、麺類ばかりにならないよう注意しましょう。野菜や果物、海藻類がミネラル補給に役立ちます。睡眠不足は体温調整能力を下げます。

しっかり眠ることも立派な対策です。

本人の「大丈夫」を過信しないこと。顔色、汗、反応、動き。この違和感を見逃さないでください。

体重測定もおすすめです。運動前後で2%以上減っていれば、確実に補給不足です。とても分かりやすい指標です。

熱中症は突然起こる事故ではありません。積み重ねの結果です。だからこそ、防げます。水、塩分、ミネラル、エネルギー、睡眠、食事。この基本を大切にしてください。

 

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