【子どものパフォーマンスを引き出す“声かけ術・第3弾】
こんにちは、宮本です!
子どもがスポーツに夢中になるかどうかは、技術よりも“声かけ”で決まる。
努力できる子、立ち直れる子、伸び続ける子、仲間を大切にできる子……
どれも技術指導だけで作れるものではない。
前回は試合前の声かけを紹介した。
今回はさらに踏み込み、試合中・試合後の声かけを、実例を使いながら徹底的に解説する。
今回も○×問題形式でいくので、読みながら“自分はどっちの声かけをしてる?”と振り返ってみてほしい。
【例題:試合中の声かけ編】
Q1. ミスが続いた時の声かけ
試合中、誰かがミスをしたり、相手に得点されたりすると、
ついチームメイトや応援席から出てしまうこの言葉。
「ドンマイ!気にしないでいこう!」
さて、この声かけ……
○でしょうか? ×でしょうか?
結論は、
×(不正解)。
「えっ……いつも聞くやつやん!」
「昔からの定番ちゃうん?」
と感じたと思う。
でも、実はこれが子どもの心を乱している。

● なぜ“ドンマイ”が逆効果なのか?
子どもがミスをした瞬間、頭の中はこんな状態になっている。
・チームに迷惑かけた
・次ミスしたらどうしよう
・怒られるかもしれない
・自分が原因で負ける…
そんな時に「気にするな」と言われても、
気にするなと言われるほど、気になってしまう。
“気にしない”というテーマが頭の中心に居座ってしまい、
ミスへの意識が強化されてしまうのだ。
つまり、
ドンマイ → 忘れようとする → 余計に意識する → 次もミスしやすくなる
この悪循環が起こる。
● 正しい声かけはたったこれだけ
「次、行こう!」
「今ここ!」
ポイントは、
過去(ミス) → 未来(次のプレー)へ意識を移動させること。
ミスの原因は“過去の自分”にある。
でも試合を動かすのは“今の自分”。
だから、意識を今に戻す声かけが必要。
「次やで」
「切り替え!」
「ここからいくよ!」
これだけでプレーは安定する。
心の向きを変える。
それが試合中の声かけの全て。
Q2. 流れが悪くなった時の声かけ
試合中、“ため息まじり”で聞こえがちな一言。
「何やってんだ!」
さて、この声かけは○か×か。
答えは、
×。
これは完全にアウト。
でも現場では一番多いセリフでもある。
● なぜ「何やってんだ!」は最悪なのか?
この言葉を受け取る子どもは、
まず間違いなく心がノンフローに落ちる。
心の中では、
・怒られた
・否定された
・自分はダメなんだ
・次ミスしたらどうしよう
こんな反応が一瞬で発生する。
その瞬間、プレーの質は下がり、
さらにミスが増えてしまう。
つまり、
怒られる → 落ち込む → 判断が遅れる → ミスが増える
という負のループが始まる。
これは親もコーチも知っておくべき“スポーツ心理の鉄則”。
● 正しい声かけはコレ
「ボール見よう!」
「前向いて走ろう!」
「声出していこう!」
ここで大事なのは、“次にできる具体的な行動”を提示すること。
子どもは大人のように
「抽象的な言葉 → 解釈して行動に変換」
という処理ができない。
だから、
抽象(怒り) → 行動(指示)へ変換してあげる
という声かけが必要。
● コーチならこう言うべき
「今は何をするべきだ?」
これは最高。
やるべきことを子どもが“自分の言葉”で思い出せる。
コーチング的にも理想的。
【例題:試合後の声かけ編】
Q1. ミス連発で負けた試合後の声かけ
「今日の負けは反省が必要だな」
この言葉、○か×か?
答えは、
○。
意外かもしれないがこれはOK。
ただし “言い方のポイント”がある。
● なぜこの言葉はOKなのか?
負けた原因をすり替えず、
“次にどう生かすか”を考える姿勢を作れるから。
子どもは負けただけで心が折れる。
そこで“事実を受け入れる力”を育てるのがこの声かけ。
ただし、ここで終わるとダメ。
● 正しい締め方
「じゃあ次の試合のために、今何ができる?」
この言葉が最強。
反省 → 行動
負け → 成長
悔しさ → エネルギー
に変換できる。
大谷翔平や本田圭佑が、
毎試合ノートに反省と次の課題を書くのは、
まさにこの“変換”のため。
Q2. 頑張ったご褒美をあげる場合
「頑張ったからガチャガチャしていいよ!」
○か×か?
答えは、
×。
理由は明確。

● 結果にご褒美を与えると何が起きる?
子どもは必ずこう解釈する。
「勝ったら喜んでもらえる」
→ 「勝てなかったら価値がない」
→ 「負けが怖い」
→ 「プレッシャーが増す」
これは危険。
スポーツの本質は
“結果ではなく努力”
なのに、
結果のみに価値づけする声かけは
子どもを壊してしまう。
● 正しいご褒美の渡し方
「結果はどうでもいい。
今日は一生懸命やってたな。それがうれしい。」
子どもは、
“努力したことに価値がある”
と理解し、
努力を続けられる人間になる。
親としては、
この考えを持つだけで子どもの人生が変わる。
【子どものパフォーマンスを引き出す“声かけ術・第3弾】
前半では、試合中と試合後の “○×声かけ” を中心に、心がフローになる言葉の選び方を紹介した。
後半ではもっと深く、
「じゃあ実際、どんな言葉が子どもの能力を伸ばすの?」
という“実戦技術”に踏み込んでいく。
ここからは、親もコーチも絶対知っておいた方がいい“声かけの本質”と“実際に使える言葉”が満載だ。
【子どもを“フロー状態”に戻す魔法の言葉】
心理学・コーチング・スポーツ科学の世界では、
フロー状態の子どもは実力の120%を発揮する
と言われている。
では、実際にどうやって子どもをフローに戻すのか?
結論から言うと、
たった一言で心は切り替わる。
その“魔法の言葉”を紹介していく。
■ 魔法①「今ここ」
試合でも勉強でもケンカしたあとでも万能。
「今ここ!」
ミス後に過去へ意識が飛んでいる子どもを、
一瞬で現在に引き戻す。
「過去 → 今」に意識を移すだけで集中力が戻り、
判断力が復活する。
■ 魔法②「次いこう」
これは最短で立て直せる言葉。
「次やってみよ」
「次、切り替えよう」
前半でも触れたが、“ミスした自分”ではなく
“これからの自分”に意識を向けさせる効果がある。
■ 魔法③「いけるよ」
根拠はなくていい。
言われるだけで身体の緊張がほぐれる。
「いけるいける」
「大丈夫、いける」
人は誰かに“いける”と言われると、
失敗への恐怖より“可能性”を意識しやすくなる。
■ 魔法④「やる事はできてるよ」
プレッシャーに弱い子に効く。
「やることはもう分かってる。あとは出すだけだよ」
不安や迷いの正体は“分からないこと”ではなく、
“自信の不足”。
その不足を一言で補える。
■ 魔法⑤「どうしたい?」
言葉を奪うと成長は止まる。
選択肢を与えれば、自立した判断力が育つ。
「どうしたい?」
「次どうする?」
“自分で選ぶ”という行為が、
子どものメンタルを最も強くする。
【怒りそうになった時の “親のセルフ声かけ”】
子どもがミスした時、
どうしても怒ってしまうのが親というもの。
でも、怒りは100%「ノンフロー」を作る。
そこで大人が自分に向けるべき言葉がある。
● セルフ声かけ①「今怒って何が変わる?」
これは強い。
怒る直前で頭が冷える。
● セルフ声かけ②「この子は今、何が必要?」
怒りではなく“必要”に意識が切り替わる。
● セルフ声かけ③「今の自分は子どもの成長にプラス?」
この一言が言える親は、
怒りを“成長の声かけ”に変換できる。
【声かけNGワード大全】
ここからは反対に、
絶対に避けたい言葉を紹介する。
理由もセットで説明する。
NG①「ちゃんとしなさい」
抽象的すぎて“何をどうすればいいのか”分からない。
混乱だけが残る。
NG②「なんでできないの?」
これは“責める言葉”。
自信を奪い、フローから最も遠ざける言葉。
NG③「また同じことしてる!」
“否定のラベリング”になり、自己肯定感を傷つける。
NG④「やる気あるの?」
やる気は感情。
指摘されても発生しない。
NG⑤「迷惑かけるな」
チームスポーツで最悪の言葉。
子どもの心は“萎縮”する。
【逆に、最強の褒め方】
褒めると伸びる。
が、褒め方には“コツ”がある。
最強の褒め方①「行動」を褒める
「あの声、めっちゃよかったよ」
「走り続けてたな」
「最後まであきらめてなかったな」
結果ではなく行動を褒めると、
子どもは努力を継続しやすくなる。
最強の褒め方②「具体的に褒める」
抽象的な褒め言葉は残らない。
「今のキャッチ、最後まで目を離さなかったな」
「その返事すごく良かった」
こういう細かい褒め方は、
自己肯定感の芯(自信の核)を作る。
最強の褒め方③「気づきを褒める」
「今、自分で考えて動いたやろ。あれ最高や」
これは“自立”につながる褒め方。
【子どもの自己肯定感を強くする声かけ】
自己肯定感は“結果”に影響されない心。
これが強い子は、勝っても負けても伸びる。
以下の言葉を習慣にすると強い心が育つ。
● 「結果はどうでもいい。やるべきことをやるだけ。」
勝敗ではなく“プロセス”に価値を置かせる。
● 「失敗は成長の材料や。」
失敗=悪 という思い込みを外す。
● 「あのチャレンジ、勇気あったで。」
“挑戦したこと”を肯定する。
【親の一言で“伸びる子/潰れる子”が決まる】
スポーツの世界では、
技術よりも“心の向き”の方がパフォーマンスに影響する。
まとめると、
伸びる子の特徴
・ミスからすぐ立ち直る
・失敗を恐れない
・親に応援されている感覚がある
・自分の判断で動く
・楽しめる
・緊張しても戻れる
潰れる子の特徴
・ミスが怖い
・“怒られないため”の行動が中心
・自分に価値を感じにくい
・失敗=否定と感じる
・結果で親の顔色が変わると感じている
違いを作っているのは、
才能でも練習量でもなく、家庭の声かけ。
親が子どもの“心の支配者”になるのではなく、
“心の応援者”になること。
それが子どもの未来を一番広げる。
【今回のまとめ:声かけは“未来を変える技術”】

声かけの心得
意味付けをしない
過去ではなく今に意識を戻す
次の動作に導く
行動を褒める
結果ではなく努力を評価する
シンプルで短い言葉を使う
親もフローでいる
子どもの気持ちを言語化してあげる
自分で選ばせる
ミスを恐れさせない
“あなたはあなたでいい”を伝える
必要なご褒美は“努力”に紐づける
自己肯定感は日常で作る
スポーツは、技術だけでなく“心の教育”でもある。
声かけひとつで、
子どもの表情も、プレーも、未来も変わる。
宮本として、これだけは伝えたい。
子どもが一番欲しいのは“結果の評価”じゃない。
応援されているという安心感。
それさえあれば、子どもの能力は勝手に伸びていきます!








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