将来に関わる!?野球肩ってどういうもの??

未来にも関わる 少年野球をしている子供の肩の痛みの正体

こんにちは、柔道整復師の宮本です。

今回は「少年野球をしている子供に起こりうる肩のスポーツ障害」についてお話ししていきます。

前回は、少年野球に多い肘の障害、いわゆる野球肘について書きました。

前回は野球肘について説明しました。

未来にも関わる!?少年野球をしている子供の肘の痛みの正体

野球肘を早期発見早期治療することが大事な訳


よろしければこちらも合わせてお読みください。

野球肘と同じように、野球をしている子供に起こる肩の痛みも、実はとても重要なサインです。

「成長すれば治るやろ」

「ちょっと投げすぎただけちゃう?」

そう思われがちですが、放置してしまうと将来に影響するケースもあります。

今回取り上げるのは、野球肩と総称される障害の中でも、特に成長期の子供に多い

リトルリーガーズショルダー

についてです。


野球肩とは何か

まず「野球肩」という言葉について整理しておきます。

野球肩というのは、野球の投球動作によって起こる肩のスポーツ障害の総称です。

野球肘と同じで、ひとつの病名ではありません。

肩の筋肉や腱、靭帯、関節包などの軟部組織の損傷、

腱板損傷、

上腕二頭筋のトラブル、

そして今回お話しする リトルリーガーズショルダー などが含まれます。

特に小学生から中学生前半の子供に多いのが、このリトルリーガーズショルダーです。

リトルリーガーズショルダーについて出典


肩ってどんな関節なのか

ここで一度、「肩」という関節について簡単に知っておきましょう。

肩関節は、

腕側の骨である 上腕骨 と、

体幹側の骨である 肩甲骨

で構成されています。

この話をすると、

「え、肩って体に直接くっついてるんちゃうの?」

と驚かれることがあります。

実際には、肩甲骨が肋骨や鎖骨と関節することで、体幹と腕がつながっています。

つまり肩は、非常に多くの関節や筋肉に支えられている、とても自由度の高い関節です。

自由に動く反面、負担も集中しやすい。

これが肩の特徴です。

もちろん、大人でも草野球や仕事の負担で肩を痛めることはあります。

ただし、大人の肩の痛みと、子供の肩の痛みは、起きていることがまったく違います。

その決定的な違いが、次に出てくる「成長軟骨」です。

肩関節の構造出典


大人と子供の肩の決定的な違い

では、大人と子供の肩は何が違うのか。

答えはひとつ。

成長軟骨があるかどうかです。

成長期の子供の骨には、まだ完成していない部分があります。

この部分を 成長軟骨、あるいは 骨端線 と呼びます。

成長軟骨は、簡単に言うと「骨の伸び代」です。

ここがあるから、身長が伸びます。

大人の骨はすでに成長しきっているため、この成長軟骨は存在しません。

つまり、同じ投球動作をしていても、子供の肩には大人とは違うリスクがあるのです。


リトルリーガーズショルダーとは

ここからが本題です。

成長軟骨は、名前の通り軟骨です。

つまり、骨よりも柔らかい組織です。

イメージしやすい例をひとつ出します。

骨付きの唐揚げを食べたこと、ありますよね。

その端っこにある、白くて少し透けた部分。

あれが軟骨です。

噛んでいると、

「ペリッ」と剥がれること、ありませんか?

……もう何が言いたいか、だいたい想像がついたかもしれません。

そうです。

成長軟骨も、剥がれてしまうことがあるのです。

これが、リトルリーガーズショルダーです。

リトルリーガーズショルダーの正式名称は

上腕骨近位骨端線離開

といいます。

上腕骨の先端にある骨端線が、繰り返される投球動作によって引き離されてしまう状態です。

「離開」という言葉の通り、骨端線が離れてしまうのです。

リトルリーガーズショルダー原因


どんな症状が出るのか

成長軟骨は骨の伸び代です。

そこに過剰な負担がかかると、骨の成長そのものに影響が出る可能性があります。

そして何より、痛みがはっきり出ます。

最初は

・投げるときだけ痛い

・全力で投げたときに違和感がある

といった軽い症状から始まることが多いです。

しかし、悪化していくと

・投球後も痛みが残る

・肩を上げるだけで痛い

・日常生活でも違和感がある

といった状態に進行します。

ここまで来ると、野球を続けること自体が難しくなります。


なぜリトルリーガーズショルダーになるのか

最大の原因は、投球動作の繰り返しによる負荷です。

いわゆるオーバーユース、使いすぎです。

投球動作の中で、肩関節には非常に強いねじれの力が加わるタイミングがあります。

このとき、成長軟骨には

・牽引力(引っ張る力)

・剪断力(引き違う力)

が集中します。

成長軟骨は、この2つの力にとても弱い性質があります。

それが繰り返されることで、骨端線が離開してしまうのです。


未来を守るために知っておきたい リトルリーガーズショルダーの対処と予防



前半では、リトルリーガーズショルダーがどんな障害なのか、なぜ子供の肩に起こるのかについてお話ししました。

後半では

・他の肩の障害との違い

・親御さんやコーチができる予防

・痛みが出たときの正しい対応

について、もう一歩踏み込んで説明していきます。

リトルリーガーズショルダー対処法出典


他の肩の障害との違い

少年野球で「肩が痛い」と言われると、

すべてがリトルリーガーズショルダーだと思われがちですが、実際にはそうではありません。

肩の痛みには、

・筋肉や腱、靭帯、関節包などの軟部組織の損傷

・腱板損傷

・上腕二頭筋のトラブル

など、さまざまな原因があります。

これらは大人にも起こりうる障害で、主に筋肉や腱の炎症が中心です。

一方で、リトルリーガーズショルダーは 骨の成長部分そのものの損傷 です。

見分けるポイントとしては、

・上腕骨の骨端線付近を押すと、はっきりした痛みがある

・投球動作の中で、特定のねじれ姿勢を取ったときに痛みが誘発される

といった点が挙げられます。

最終的には、X線(レントゲン)検査によって骨端線の状態を確認することで診断されます。

「成長期の肩の痛み=軽いもの」と思い込まず、

骨の問題かもしれない という視点を持つことがとても大切です。


周りの大人ができる予防策

リトルリーガーズショルダーを防ぐうえで、最も重要なのは

周りの大人の関わり方 です。

親御さんやコーチができることは、大きく分けて二つあります。

それは

見てあげること

話してあげること

です。

まず「見る」というのは、ただ練習を眺めることではありません。

・投げ方が以前と変わっていないか

・肩や腕をかばうような動きが増えていないか

・表情がいつもと違わないか

こうした小さな変化に気づいてあげることです。

そして「話す」こと。

これがとても大切です。

子供は、思っている以上に我慢します。

理由はさまざまですが、

・レギュラーを外されたくない

・試合に出たい

・周りに迷惑をかけたくない

こうした気持ちが強く、痛みを隠してしまうことが多いのです。

「痛いなら言いなさい」

これだけでは、なかなか言えません。

「最近、投げたあと肩どう?」

「昨日より違和感ない?」

と、こちらから声をかけてあげるだけで、子供は話しやすくなります。


変化は、突然ではなく積み重なりで起こる

リトルリーガーズショルダーは、ある日突然起こることは少ないです。

多くの場合、少しずつサインが出ています。

・急に練習を休みたがる

・全力投球を避けるようになる

・肩を回す回数が増える

・投げ終わったあとに肩を気にする仕草が増える

こうした変化が見られたら、

「気のせい」

「疲れてるだけ」

で片付けないでください。

ちゃんと見てあげていれば、

「あ、そういえば少し前から動きおかしかったな」

と気づけることが多いです。

それを言葉にして伝えてあげるだけで、

子供は「ちゃんと見てくれている」と安心します。


痛みが出てきたときの正しい対処

もし肩に痛みが出てきた場合、まずやるべきことはひとつです。

練習をストップすること。

特に、痛い側の肩を使う投球動作は中止してください。

「少し様子を見る」

「今日は軽めに」

では足りません。

その上で、

・どんな動きで痛みが出るのか

・腫れや赤みはないか

・投げたあとに痛みが残るか

こうした点を覚えておくと、受診時にとても役立ちます。

その後、お近くのかかりつけの整骨院や医療機関で診てもらうことをおすすめします。

リトルリーガーズショルダーのリハビリについての出典


治療と回復について

リトルリーガーズショルダーの多くは、安静にすることで回復します

成長軟骨が修復されるには、時間が必要です。

ただし、痛みがある期間が長くなると、

周囲の筋肉や組織が緊張し、硬くなってしまうことがあります。

そうなると、

・血流が悪くなる

・回復が遅れる

といった状態に陥ります。

そのため、安静に加えて

手技療法などで周囲の組織をゆるめ、血流を促進することで、

自己回復力を高めてあげることが大切です。

単に「休ませるだけ」よりも、

回復しやすい身体環境を整える

この考え方が重要になります。


まとめ

リトルリーガーズショルダーとは、

上腕骨近位骨端線離開 と呼ばれる、成長期特有の肩の障害です。

・骨の伸び代に起こる大きな損傷である

・放置すると成長や将来に影響する可能性がある

・予防には、周りの大人とのコミュニケーションが不可欠

これらを知っておくだけで、守れる未来があります。

当院でも、野球をしている子供たちの治療を行っています。

しっかりとケアをしながら、長く楽しく野球を続けられるようサポートしていきましょう。

宮本

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